音の良さは反響の具合〜フィアカの天井〜

 

初めてヨーロッパを訪れたのは、23年前。
音楽家としてはかなり遅いヨーロッパデビューだったんだけれど、
最初の旅は添乗員さんに案内してもらっての、団体旅行でした。

 

とは言え、マスタークラスを受講する為のサマーセミナーツアーだったので、
”楽しい”の前に、『オーディション』のプレッシャーが、どわぁーーんと横たわり、
日本を出る為の大阪伊丹空港から成田までの国内線の飛行機の中で、
まるでロケットが大気圏を抜けるときのようなパニックに(ってどんなんや)

いえ、宇宙飛行士さんはパニックにはなりませんな^^;

 

 

まぁ、ともかく

 

日本をいよいよ出るよ、

出たら次はヨーロッパのミュンヘンだよ、

ミュンヘンの次はモーツァルトの生まれ故郷ザルツブルグだよ

そこでオーーディションだよ、

一緒に受けるのスゲーーー人たちばっかだよ、

クラスの先生はスゲーー超一流の音楽家ばっかだよ、

 

って、色々が、頭を巡って巡って、
フラフラになっちゃって。

過呼吸!

荒々しい私の息づかいに反応した隣の席のオッサンが、

 

『おおおおおお、落ち着けーー!!大丈夫だ!』

と言ってるその顔が、私につられて既にパニクってる(笑)

 

その日、飛行機は普通に飛んでたんだけれど、その時乱気流に突入していました。

 

その揺れで、一気に胃がひっくり返ったみたいに気持悪くなって

あやうく成田離婚ならぬ、成田リタイアするところだった訳です。

 

結論から言いますと、

私は、CAさんから貰った酔い止めと家から持参した父の胃薬が効いて元気回復。
機内食全て綺麗に平らげて、12時間の空の旅もなんなくクリア。

 

実は私は、当時、摂食障害を患っておりまして、と言っても

過食症ですが!!!

 

なので、食べるのは得意だった訳でございまして。

 

 

と、こんなどうでも良い話がしたい訳ではなく、
何故、天井なのかと言う事ですね。

 

6週間の滞在中に2週ずつのペースで3人の先生のクラスを受講するべく
オーディションを受けました。勇敢な女です。

 

全ておっこちた(暴)

 

練習室は、受講生のみに与えられ、聴講生は練習出来ないのです。
練習出来るのは、オーディションの前のわずかな時間のみ。
2時間ずつ、受験者全員に割り当てられました。

 

音楽院には新館と旧館があって、

私は趣のある旧館がお気に入りでした。

 

その旧館の練習室がね。。。

やけに細長ーーーーくてね(笑)

 

 

奥行きも、高さも、
むっちゃ細長かったんです。

 

置いてあったピアノは、ベーゼンドルファー。
かなりデカイヤツ。

でーーーーんと、ヤツはその細長い空間に居た。

 

弾いてみると、何だこりゃ?

ピアノの音が、まるで違う。

気持いい。

 

あれれ、私上手くなったのか?

 

いやいや、2週間ピアノ触れてないじゃないの。
指は久しぶりの鍵盤に喜んでいる訳で。

 

 

で、思い込んだ訳です。

『さては、秘密はこのやけに高い天井だな・・・』

 

単純ですね〜。

IMG_1859

 

 

 

その後、日本に帰ってからと言うもの、
私は、天井の高い場所を無意識に探すようになりました。

そして、ついに見つけた!

灯台下暗し。

 

うちの家の庭に忘れ去られたように存在し、
ゴミ置き場と化していた、農機具用の納屋でした。

 

この天井がね。。。。
綺麗で、高かったんですね。

ゴミがぷぅんと臭い中(失礼)

歌ってみると、すごく美しく響きました。

手を叩いてみると、残響が長かった。

 

 

それが、この天井です^^

サロンを創るきっかけとなった、天井です。

 

最後までお読み頂き有り難うございます。